入れ歯生活

虫歯・歯周病・口内炎!
気をつけたいお口のトラブルの原因とは?

虫歯

虫歯

普段の歯みがきでは、自分の歯はきれいに磨けていても入れ歯のケアを怠りがちに。特に部分入れ歯の細くて湾曲しているクラスプはお手入れを見落としがちです。
クラスプに細菌が付着したまま入れ歯を使用していると、細菌が歯の表面にべっとりと付着し虫歯のリスクが高まります。また、万が一虫歯になってしまった場合、虫歯の進行具合や治療方法によっては、支えの歯の形状が変わることがあります。そうした場合、現在使用している入れ歯の修正が必要になることもあるため、虫歯の進行は早い段階で阻止しなければなりません。
これ以上歯を失わないためにも、毎日しっかりとお手入れに励みましょう。

歯周病

歯周病

歯周病のリスクが高い方は自宅での入念なセルフケアのほか、歯医者さんでの定期的な歯周病のチェックで大切な歯を守りましょう。
部分入れ歯は、入れ歯を支える歯が重要な役割を担っています。入れ歯を支える軸となり入れ歯を安定させます。入れ歯を支える歯を失わないためにも、定期検診と歯周病のチェックは重要なのです。
定期検診の際には、バネのかかっている歯に力がかかり過ぎていないか、歯が揺れていないか、歯ぐきからの出血や腫れはないかなどの入れ歯と歯周病のトータルチェックを受けることで歯周病の進行を未然に防ぐことができます。
また、歯科医師や歯科衛生士がお口の環境やライフスタイルに合わせたセルフケアのポイント、歯ブラシ選びのアドバイスなどを教えてくれるはずです。
適切な歯周病ケアで健康な歯は残せます。歯周病トラブルを回避し大切な歯を守りましょう。

口内炎

口内炎

口内炎は様々な原因により引き起こされます。通常は一時的な症状として1週間程度で自然に治癒しますが、なかなか治らず原因がわからないこともあります。治りが悪い場合や、症状が長引く場合には歯医者さんに相談してみましょう。
ここでは、入れ歯と関わりが深い口内炎について詳しく紹介します。

潰瘍性口内炎[かいようせいこうないえん]、義歯性口内炎[ぎしせいこうないえん]

入れ歯が擦れて痛みがあるとお口の粘膜に傷がつき、炎症や赤みや腫れを引き起こして腫瘍が発生します。これを腫瘍性口内炎と呼びます。
入れ歯が原因の場合は、歯科医院で入れ歯の調整をすることで解決する場合が多くあります。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、入れ歯のお手入れ不足による細菌の繁殖で引き起こされます。入れ歯についた歯垢[しこう]はデンチャープラークと呼ばれており、特にお手入れを見落としがちな入れ歯の粘膜部分は細菌の温床になっていることもあります。
お手入れ不足の入れ歯からは、多数のカンジダという真菌(カビ)が検出されます。このカンジダ菌が入れ歯の下の粘膜に炎症を起こし出血するなどのトラブルを起こします。

気をつけたい、3タイプのカンジダ症

気をつけたい、3タイプのカンジタ症

さらにカンジダ症は下記3つに分類されます

偽膜性カンジダ症[ぎまくせいかんじだしょう]

白い苔のようなものが付着します。

紅斑性カンジダ症[こうはんせいかんじだしょう]

粘膜が赤くなり、ヒリヒリした痛みを生じます。

肥厚性カンジダ症[ひこうせいかんじだしょう]

白い苔のようなものが張り付きガーゼなどで拭っても取りにくくなります。また粘膜に厚みを帯びます。

カンジダ症を防ぐには、お口の中のケアと入れ歯のお手入れが大切です。食後や就寝前には入れ歯を外して隅々までよく洗いましょう。ブラシと入れ歯洗浄剤を併せて使うとより洗浄力も高まります。

口内炎、その他の原因は?

口内炎、その他の原因は?

歯磨きや入れ歯のお手入れもしているのに口内炎ができてしまうという方は、そのほかの原因があるのかもしれません。

唾液の減少による原因

唾液の減少による口内炎が考えられます。唾液はお口の粘膜を保護する役割があり、入れ歯が動かないようにする糊のような役割も担っています。しかし何らかの原因で唾液が少なくなると、入れ歯がズレやすくなり粘膜に傷がつく原因となります。お口の渇きを感じる場合は、保湿ジェルや唾液腺のマッサージなどで潤いを与えましょう。

金属アレルギーによる原因

金属アレルギーをお持ちの方は、銀歯や入れ歯のクラスプやフレームの金属に反応し、粘膜に赤みや口内炎を伴うアレルギー症状が出る場合があります。その場合は、銀歯を取り除きセラミックに変える、入れ歯のクラスプやフレームをチタンなどの身体への負担が少ない金属に変える対策が必要です。

ビタミン不足やストレスによる原因

ストレスや疲れによる免疫力の低下、ビタミンB2不足が考えられます。
口内炎の軟膏やパッチを使用すると比較的早く回復する場合があります。

監修ドクター
岡山大学 医歯薬学総合研究科
医歯薬学総合研究科・生体材料学分野

松本 卓也 教授